北京滞在、8時間
なんだかんだでヨルダンへの旅がスタートした。
乗り継ぎのため、北京到着。
夜がまるまる空いていたので、中国人の友人と北京火鍋を食べに行く約束をしていた。
市内へ出るためのバスチケットを買う。
第3ターミナルから东直门という大きな駅の方面までで25元。
ここで不思議なことが起こった。
窓口のスタッフがお釣りを先に出したので、それを受け取って財布にしまい、バスの方へ2.3歩あるいてすぐにチケットを貰い忘れていたことに気づいた。
「チケットは?」というと、そいつは「さっき渡しましたよ!」と言う。
いや、それはない。
お釣りしか貰ってない。
もともとATMから100元しか降ろしていなかったので、財布の中は釣り銭の75元だけ。
他には何もない。
よく探せ、と言われ一応全身のポケットを探ったが、そもそも貰ってないのであるわけがない。
「探せ」「ない」のやり取りが続いたが 最終的にはスタッフが折れてチケットを渡してくれた。
追いかけて文句を言われないように、受け取った後はすぐさまバスに乗り込み中国人に紛れ存在感を消した。
ずっとイライラしていたが、よく考えたら自分の足元を見ていなかったので
風に吹かれてどこかへ飛んで行ったという可能性もある。
バスチケットはトイレットペーパーよりも薄い実に粗末な紙で出来ているからだ。
何はともあれ、余計な金を払わずに解決して良かった。
30分後、东直门のバス停に到着し友達と合流。
中国人の友人と、ハンガリー人の友人と3人で
河沿いの古い街並みにある火鍋店へ向かった。
友人が整理番号を取っておいてくれたのでそんなに待たずに済んだが、かなり人気の店らしく21時を過ぎても待っている人でいっぱいだった。
北京式の銅火鍋は最高だった。
沸き立つ清汤(あっさりスープ)と羊の頭肉。
タレはゴマだれしか選べなかったので黙って従ったが、正直酢で食べた方がもっと美味くなると思う。
いろいろ注文し過ぎて食べきれなかった。
ちょっと勿体無い。
ちなみにこの2人の友人は大変優秀な人たちで、ハンガリー人の方はあの清華大学に留学中である。
自分ひとり馬鹿が露呈しないように言動には十分気をつけた。
長旅だけど大丈夫?と言われたので
本を持ってきていることを話すと
何の本を読むの?と聞かれた。
幸いにも、カミュを持ってきていたので「カミュだよ」と答えることができた。
くだらない本を持ってこなくて良かった、と心の底から思った。
普段読書はしないが、こういう時のために一応映える本を持つようにしている。
深夜のフライトでウィーンへ向かうため、
火鍋は早々に切り上げて空港へ戻った。
友人は私との別れをとても惜しんでくれた。
会う前に「手土産はいらない、会えるのが楽しみ」と言ってくれたのが社交辞令じゃなくて、本気でそう思ってくれていたんだと分かってとても嬉しかった。
久しぶりの中国。
数時間ではあるが、心もお腹も満たされてとても楽しかった。
空港内では自尊心を捨て、民度低めの人たちに混じって充電スポットに居座り時間を潰した。
ゴミは散らかりまくりだし、イヤホンをつけずに音楽・ゲーム・動画垂れ流し、不快すぎる空間だが仕方ない。
私はスマホが無ければ生きていけないのだから。
充電が80パーセントを切ると不安でたまらなくなる、完全なスマホ依存症。
はたして持ってきたカミュはいつ開かれるのだろうか?
ちなみに北京の空港Wi-Fiは低速ですぐに途切れるので最悪だった。