TIME TRAVELER CHITA

I'm CHITA, Hongkong super star. Tibet

西安の朝、念願の青蔵鉄道

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09:45の列車に乗るため、朝早く宿を出た。

駅近なので歩いて行く。

10分ほどの道だが、歩いている感覚でこの街がきちんと碁盤目状になっているのが分かった。

 

西安の朝。中国人の朝は早い。

包子(肉まん系)の湯気、麺、お粥…

朝も美味しく、そして楽しい。

清々しい朝だった。

 

これから夢を叶えに行くというトキメキ。

 

中国の駅はたとえ地下鉄であっても必ず荷物検査のゲートを通らなければならない。

今回の鉄道は尚更厳しくチェックされる。

あらかじめ旅行会社の人が予約してくれていたチケットを窓口で受け取る。

ここでも許可証の提示は絶対である。

この先、この紙ペラ一枚の許可証がパスポートと同じくらい大事な存在になってくるのだ。

 

ちなみに許可証は旅行会社から「これを綺麗に印刷してください」といって送られてきた写真をそのまま印刷しただけのものである。

スキャンデータのPDFですらない、本当にただの紙(許可証)の写真だった。

なんて粗末な…でもだからと言ってそこは舐めてかかってはいけない。

この紙がないと、本気で鉄道に乗れない。

(ホームでも駅員に確認される、のちのち車内でも提示を求められる)

そんなに重要なら、もうちょっと別の形にするべきではなかろうか?

 

 

 

 

旅立ちの朝は外で食べる時間がなかったので駅構内のしょぼめ食堂でワンタンスープを注文。f:id:chitalian:20181114233612j:image

普通に美味しい。ハズレなし。

 

HさんとDさんが注文していたものはあまり美味しくなかったらしく、1人だけワンタンを楽しんで少し後ろめたかった。


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寝台列車!二等席のチケットは、3台ベットが両サイドに据えられたコンパートメント。

私が一番上の段をもらった。

荷物を入れる空間があるのはいいが、はしごは無く足をかける小さいクボミみたいなものしかないので登り降りは楽ではない。

 

ちなみに相部屋となったのは中国人の男性3人で各々用事があってラサに向かっているようだった。

1人は色白メガネ、漢民族風の顔をしていた。歯科医らしい。

もう1人は素朴な青年みたいな顔をした30歳くらいの人で、なんとなく軍人っぽい雰囲気があった(実際は違う)

もう1人の中国人は他の部屋に友達がいるようで、ほとんど居なかった。

 

歯科医と軍人と私たち3人でお話ししながら買い込んできたお菓子を食べたり景色を見たり。

西寧で高山仕様の車両に映るまでは特別良い景色でもなかった。

 

彼らは友好的に接してくれて、なおかつ常識ある普通の、まともな大人だった。

他の乗客達のヤバイ振る舞いを見ると、同室の中国人が彼らで本当に良かったと心から思った。

 

気づけば景色がすっかり変わっていた。

煤けた都市の姿はとうに消え、見渡す限りの大地に。

 

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低い山々や湿地や湖が、かわるがわる現れては遠くに消えて行った。

 

いま自分はまさに地球の上を走っている、そういう感覚になる。

 

 

途中下車はできないので、朝・昼・夜・翌朝分の食料を買い込んでおく必要があったが

西安駅構内のスーパーはしけた物しか無かったのでお菓子ばかり買って肝心のパンやカップ麺は早々に尽きた。

 

そこで何度か食堂車へ行って食事をした。

食堂車なんて初めてなので最初はウキウキしていたが、値段は高いし、メニューにあるものをオーダーしても「あ、いま材料ないから無理〜」と言われたり、有ってもあんまり美味しくなかったり、と微妙だった。

 

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食堂車へ移るには三等席のゾーンを通らなければならず、車両の連結部の扉は常にロックされているので自由に移動できず、いちいち扉を殴って駅員を呼ぶのが面倒だった。

 

三等席ゾーンはただの座席しかない。

農村から出てきた風の出稼ぎおじさんや、少数民族と思われる顔立ちの家族、何世紀も昔の世界から乗ってきたような独特の民族的な格好をした人など。バラエティに富んでいて、なんだか社会の縮図を見たような気がした。

 

西安からラサまでは約31時間。

 

車窓からの景色が壮大すぎて、全然飽きることはない。

 

 

 

深夜、こっそりベットから降りて窓の外に星を探してみた。

満天の星、とまではいかないが十分綺麗。

目が暗闇に慣れてくると地平線が見えてくる。

本当に何もないただの大地と、地平線と星空にただただ感激した。満足した。