気づけば
気づけば5月になっていた。
いつの間にか新しい時代を迎えていた。
この1ヶ月はほとんど葉山で過ごしていた。
葉山は海の綺麗なリゾート地である。
マリンスポーツが盛んでいつも海の上には白いヨットの帆が見える。
ここに住んでいる人は皆豊かで、大きな立派な犬を連れていたり、高級車を走らせていたり、或いは高級車に立派な犬を乗せていたりなどしている。
金持ちだからといって嫌味な感じもなく、
爽やかで、街並みも整然としていて素敵なところだった。
住宅はセンスが良くて、お花がたくさん植えられているのが多かった。
そしてたくさんの家にボートが置かれていた。
たまに絵に描いたようなお屋敷が隠れているのを見かけては勝手に胸を躍らせた。
なぜ葉山にいたのかというとそれは仕事の関係だった。
そうでもなければ、こんな所にくるチャンスなんてない。
ワクワクするような大きな鳥がビュンビュン飛んでいる。
1ヶ月滞在したが、とても今の自分には相応しくない上級の街だった。
いつかここに住みたいな、と密かな夢を抱きながら葉山を離れた。